
百人一首~古典の泉~ 第三号
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どうも、たいまつです。
はじめにこの連載についてのお知らせを。この『古典の泉』は毎週金曜日にひと記事ずつ連載していく予定です。読者の皆様、どうか末永くよろしくお願いします。
今回の歌
さて、今回紹介する歌はこちら!
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む柿本人麻呂
語句・文法から見る
では、語句や文法的な事項から歌意をとらえていきたいと思います。
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枕詞この歌では「あしびきの」が該当します。「山鳥」の「山」を導く枕詞なので、現代語訳するときは無視で大丈夫です。
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山鳥キジ科の鳥で、雄は尾が長いのが特徴です。また、雌雄が峰を隔てて寝るという言い伝えから、独り寝することの形容に用いられることもあり、この歌もそのうちのひとつです。
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しだり尾「の」
しだり尾は長く垂れ下がっている尾のことですが、その後の「の」がけっこうくせ者です。これは比喩を表す格助詞で、下五全体を訳すると
長く垂れ下がっている尾のように
となります。五七五部分に格助詞「の」がいっぱいある歌ですが、下五の「の」だけ比喩を表すということを覚えておきましょう。
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序詞実は、ここまで見てきた上三句「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の」です。
ここで問題。
さすがです!
序詞は枕詞と同じようにある語句を導き出すために用いられますが、4音や5音などの1句から成る枕詞とは違い、2~4句ほどに渡ります。この歌がいい例ですね。また、序詞は作者が自由に創作でき、個性的なものがたくさんあります。
序詞は枕詞と同じようにある語句を導き出すために用いられますが、4音や5音などの1句から成る枕詞とは違い、2~4句ほどに渡ります。この歌がいい例ですね。また、序詞は作者が自由に創作でき、個性的なものがたくさんあります。
ながながし
本来なら「夜」に続くので連体形「ながながき」が用いられるところですが、なぜか終止形「ながながし」が使われています。また、形容詞の終止形を名詞化することで、「夜」と合わせて複合語として用いたという説もあります。
ひとりかも寝む
ここでは説明したいことが2つあります。
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係り結びか(係助)ーむ(推量の助動詞連体形)です。「む」は終止形でも「む」なので、この係り結びは見落としがちかもしれません。
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係助詞か(係助)ーむ(推量の助動詞連体形)です。「む」は終止形でも「む」なので、この係り結びは見落としがちかもしれません。「か」は疑問の係助詞、「も」は詠嘆の意を含む強意の係助詞です。
これらを考慮して最後の七文字の訳を考えると、
「独り寝るのかなぁ。」
と疑問と詠嘆の混じったような感じになります。
おさらい
ここで歌についてのおさらいです!下の空欄()を埋めてみてください。ここまで読んできてくれたあなたなら分かるはず!
あしびきの ( )の尾の しだり尾の
( )夜をひとり( )
(歌意)
山鳥の、長く垂れ下がっている尾の( )、長い長い秋の夜を、私も独り寝る( )。
- 正解例はこちら!山鳥・ながながし・かも寝む・ように・のかなぁ
歌の穴埋めは解答通りですが、訳のしかたは人それぞれです。しっかりとポイントをおさえていれば教科書通りでなくとも大丈夫です!
作者
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
飛鳥時代の歌人で、三十六歌仙の1人として非常に有名な方です。三十六歌仙には他にも小野小町や在原業平、紀貫之など、有名な歌人がたくさんいます。
彼の歌の特徴は格調高い歌風であり、また言霊信仰に関する歌も詠んでいます。長歌に関しては完成者と呼ばれるほど秀でており、複雑で多様な対句を用いたとされています。
まとめ
この歌では「秋の夜長に、独り寝するわびしさを恋しい相手に訴える心」が、やわらかい音調に合わせて詠まれていました。していることは独り寝ですが、すごくロマンティックに聞こえる歌ですよね。やってることは独り寝ですが。
最後に復習クイズを数問どうぞ。
次のうち、今回取り上げた歌に使われていない表現技法はどれ?
- 係り結び
- 枕詞
- 掛詞
- 比喩
- 序詞
簡単すぎましたか?
もしかして急いでらっしゃいました?時間のあるときにもう一度読んでみてください。
次のうち、三十六歌仙でない人物は?
- 柿本人麻呂
- 小野小町
- 大伴黒主
- 紀貫之
- 在原業平
彼は六歌仙の1人ですが、六歌仙のなかで1人だけ小倉百人一首に選ばれていません(けっこう早押しクイズに出がち)。なので、この連載で取り上げるのもここだけかもしれません。かわいそーに。
答えは大伴黒主。彼は六歌仙の1人ですが、六歌仙のなかで1人だけ小倉百人一首に選ばれていません(けっこう早押しクイズに出がち)。なので、この連載で取り上げるのもここだけかもしれません。かわいそーに。
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